レモンと本好きな人の記録

レモン味が大好きな人です。毎年期間限定のレモン味の商品のレビューをしていこうかなと思います。

3つのテーマがあるけど、まだうまく融合していない。

「埋められた匣」

日向遼著

さて、今年最後の投稿は和算小説の紹介です。

 

少し前、まだ世間が不景気だったころ。三年前に起こった工場の経営者の失踪とコインロッカーの青酸カリの事件、そして、裸で見つかった記憶喪失の男。この事件が一本の糸で結ばれると言うのが、この本の大きな流れで基本ミステリーです。ここに徳川の埋蔵金ネタが入ってます。

流れとしては郷土密着型のルポライターの主人公が借りた本に挟まっていた謎の暗号に興味を引いて関係者にあたるうちに殺人事件を解決してと言う話です。

で、肝は埋蔵金の隠し場所など探すのと事件の推理ですが、ここに江戸時代の東京近辺と伊賀忍者が絡んで序盤は郷土の歴史話が延々と続きます。で、その後に事件の謎解きがありますが、ここにはその郷土の話はあまり関係なく、全般のうんちくシーンは何だったのかしらと言う感じです。事件の解決も被害者の息子から重要な証拠が次々と出てきてまあ、ご都合主義というか、わかりやすいですね。で、事件が終わった後の終盤になってやっと暗号解読が進展すると言う、テーマは盛りだくさんですが、それぞれの絡み合いはあまりないです。

和算に関してはこの暗号文の作成と解読に大いに貢献してます。まず、暗号文の数字は算木で表されていて、ひらがなに対応してます。そして、その後そのひらがなとある数字の列を使ってもう一つの暗号を解くのですが、ここは結構ご都合的展開。まあ、普通和算者がいたと知らないと思いつかないよね。

で、場所を見つけてお金が出てきて、事件も解決したし、一件落着となったのですが、お金に困ってるはずのルポライターはほぼ一銭ももらってなく、爽やかなのが若干変だなぁと思う感じです。

作者の経歴を見ると、郷土史家で、デザインの仕事してたひとらしい。なるほどね〜。

 

埋められた匣

埋められた匣

 

(2018/12/26読了)