和算が好きな人っていつも頑固な人という風に書かれてる気がする。ちょっと嫌だな。
「お宿如月堂庵へようこそ」
中島久枝
江戸の家事は名物と言いますが、当事者にとっては大変です。このお話の主人公も家事で焼け出されてしまいました。しかも唯一の肉親のお姉さんは行方知らずで、姉さんの奉公先だった油問屋は火元とされて散々な目に。それでも一緒に探してくれる人がいたり、目をかけて自分の宿屋のお部屋係にしてもらったりしてなかなかに運はよかったようです。
そのお宿で起こる事件に体当たりで解決していきます。
和算は第3話に登場。苦労して奉行となった人に養子に行く甥っ子の話で、その甥っ子が和算が好きで・・・という話。話の冒頭では旗本の若侍が出てきて寺子屋のように主人公たちに和算を教えてもらってます。
その宿に甥っ子が泊まりにきたときに、和算はやめなさいと言ったのに、頑固なところを見せてこの話自体が無くなりそうに、という筋です。
学問の話題としてはほとんど出てこず。唯一算額を見に近くの神社に行くぐらいでしょうか。
それでもなんとなく和算の世界観が垣間見えます。話しはありきたりな傲慢にせず、無難に折れずに頑張る大切さを説いて終わります。
うーん、もうちょっとひねっても面白かったのに。
そして、この本では火事の本当の真相が暴かれますが、まだまだ伏線は全て回収しておらず、人気があれば続刊が出てきそうです。ちょっと期待してます。
(2017/07/20読了)