短いお話に話題がてんこ盛り。
「きりしたん算用記」
こちらはちょっと子供向けの本のようで、全部で200pないぐらいの中編?になるでしょうか。
内容も章が10以上に分かれているおかげで、そんなに話が込み入ることなくさくさく進みます。
ただ、大人が読むと、その辺りをもっと詳しくとか、あまりイベントが出てこないので、ちょっと物足りないです。
話しは時代は江戸初期、孤児で、傭われ先を追い出された主人公の子が京都のキリシタンに助けられて、そこでキリスト教のことを知っていくというお話です。
ここに京都の豪商角倉家の親戚吉田与七や和算家の毛利重能が絡んで、いかにこの頃、数学が盛んで、西洋の数学が進んでいたか書かれます。
あ、ちなみに吉田さんは吉田光由とも言って、「塵劫記」の作者です。
また、キリスト教についても色々と書かれてあり、作者はしっかりと勉強してる印象です。この女の子もすぐに改宗するのではなく、キリスト教の教えに不思議がってますので、当時の人たちはこんな思いだったのでしょうね。
最後には助けてくれた人が自分を犠牲に助けてくれたのを見て、教えに目覚めてどこかに消えていくという終わりでした。
この辺りは子供には物足らないと感じるかも。
そして、こんな大きな話題を2つも扱っているので、どちらの紹介も中途半端。もっと和算の話も盛り込んで欲しかったし、吉田さんが塵劫記を作る話とかも盛り込んで欲しかったです。
最初に江戸時代初期のキリスト教と和算をさらっと理解するには良い本です。
(2016/7/22読了)