ワクワクは大切だ
「『研究室』に行ってみた。」2014刊
この作者の作品はずいぶん前に「夏のロケット」で出会ってからずっと好きで、科学系の交渉のしっかりしたファンタジーな作品が多いのでよく読みます。この本はそんな作者の興味を持って取材した研究者の人たちを紹介した本。
大元はナショナルジオグラフィックの日本版ウェブサイトでの連載だそうで、その中から選りすぐりを再構成しているとの事です。
内容はバッタに始まり、宇宙の話から最後は地理学(ナショジオは地理学の雑誌なんですって!)まで、幅広い分野を扱ってます。
内容はというと、研究者のなぜこういう研究をしているかが書いているのですが、川端さんも研究者も本当に楽しんでやっているということがよくわかる文章です。
中でも113番元素を見つけた人の章が本当に頑張ってというよりもうまく乗り切ってきたという話で、なんともスケールの大きな話でしたが、やっぱり研究というのはこういう芽が長く出ないこともあるよね。そこで腐らずにやれているのが、その研究が楽しいと思っている人ではないのかなと思いました。
そういえば、この章を読んだ夜に元素名の候補の発表があり、不思議な偶然にニュースをしっかり見てしまいました。
さて、この本はどちらかといえば理系向けの人が読むようなシリーズですが、是非研究者を目指している文系(と思っている)人も是非読んでほしいです。
ここに出てくる人そんな括りも飛び越えている人たちなので、是非読むと良いと思いますよ。(とあとがきにも書いてありました)
個人的には一時期少しは研究の道を考えていた者としては何かしなくちゃという焦りを覚える本でした。
(2016/06/09読了)